ふと目を覚ますと聞えて来た
あれは風の音！？
水を跳ね飛ばし走りまわる車の音
でも遠くうねっている潮のような音だ
風にもまれる木々の音に交じって
いくつもの車の音
突然高い空の上を
唸り声を上げてジェット機が通過した
駅前のマンションの１３階
開け放たれた窓から入って来る音は
雨のおかげでみんな違って聞こえて来る
遠くから横切って来る電車の音は
方向感を持って通り過ぎる
駅に止まってまた
動き始める音
遠のいて行く音
風の音が全てを掻き混ぜて
大きくうねって
海の音のように聞えて来る
いつものつまらないマンションが
海にせり出したテラスになって
雨空が音に交じって拡がって行く
意識が遙か空間を飛翔して
目覚めの時を眠る時
もうう少し眠っていよう
ぼくは布団に顔をうずめた