安産祈願
服部 剛
身ごもった妻が慌しく、出勤していったので
休みで家に残った僕は
巻いてる暇のなかった水天宮の腹帯を
胎内と等身大の赤ちゃんの絵を包むように
ぐるぐる巻いた
紙と帯のすき間から時折
ぷうん、と妻の薫りをかぎながら
(すくすくと、養われよ・・・)と祈りつつ
ぐるぐる巻いた
「安産御守」の朱印を布地に押された腹帯を
妻の机の上にそうっと置いて、両手を合わす。
今頃、職場のデスクに腰を下ろした
妻の大きいお腹が、ぴくっと動いたかもしれぬ。
自由詩
安産祈願
Copyright
服部 剛
2011-06-17 21:03:31
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