ホロウ・シカエルボク





あこがれ


虚ろをあからさまにするひかり


そのひかりの中で
ほんとうの泣声をあげるだれか


そのかたわらで
ただ見つめているだけのどうぶつの慈愛


喀血
するまぼろしをみる
こうして書いていると


あこがれ


さまざまな音が
らせんのように絡んでゆくジャムセッション
Holy?
あなたの足元を揺らした振動に
そのひかりは果たしてありましたか?


砂浜に静かに寄り添うような
波になりたいと思った
あのときは十代で
静けさに遮断された世界の中にいた


ねえ、ねえ、どんなことをすれば


こころにはひかりがあるの
ほんとうの泣声をあげることが出来るの?


突堤を、テトラポッドを
波がこえたとき
まんなかが突き抜けた
高く飛びあがろうとするからこそ


それは
波と呼ばれることが出来るのだ


星のかがやく夜
海は引力の歌をうたう
気負いも脱力もない
あたりまえの旋律で
波になりたいと思ったけれど
波ではなかったから
人間なのだ






自由詩Copyright ホロウ・シカエルボク 2011-06-14 22:26:28
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