宣告
夜雨

 ある朝、私(わたくし)は
 暗く濡れたアスファルトの坂道を
 一人ゆっくりとのぼっていました

 両側にはブロック塀
 その向こうには常盤木の枝密やかに揺れて
 飛び立つ朝の姿が
 澄みきった空、力強く縁取るのでした

 この素敵に明らかな朝
 全ての囁きが封じられて
 解き放たれた沈黙が光り輝く朝
 私はがらんどうの私を
 からんころんと引きずりながら
 私の夢見た私、捨てたのです

 死刑を宣告いたします
 
 私は私に
 私の私に


自由詩 宣告 Copyright 夜雨 2011-06-09 18:27:52
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