場面場面
電灯虫
*
彼女を携帯の電話帳から見つけて
通話ボタンをタッチする。
コール音が鳴り出す。
鳴り続ける。
と 機械的な女性が出て
彼女が今携帯が取れないことを告げる
すれ違い感じて 次の機会を探る。
**
営業からの帰社途中
携帯をチェックしよっと。
と すぐに携帯が鳴って
表示を見ると彼だけど
でも先輩が向かいから来るから
ゴメンと思ってプッシュで切った。
すれ違い感じて 電話出来る時間を探す。
*
仕事終わりで付き合いも程ほどに
家路を急ぐ。
帰りのホームは仕事帰りの人が多く
ほろ酔い気分がそこかしこに在る。
ちょっと遠出した帰り道も楽しめそう。
三分待ちで来た電車のドアが開く。
動かなくて済むポジション目指し
座席前の中盤を支配したら
後は無意識の目覚めに任せて寝る。
**
先輩との打ち合わせが終わって
やっと帰路に着く。
汗ばんだシャツが気持ち悪くて
シャワーが恋しい。
いつもの駅の いつもの改札って
心で歌ってsuicaを通す。
向かいのホームに電車が来てて
私の電車はいつかなーと見上げれば
あと一分待つ。
* **
酔いも醒め気味な中 シャワーを浴びて
彼女にメールを送る。 彼からのメールを受け取る。
彼女に気を使わせたくて 謝りのメールと思ってたのに
気にするなって書いた。 気にするなって書いてた。
携帯のメール音が鳴る。 すぐさま返信。
一行で 一行で
気にする、ごめん!! 気にする、ごめん!!
と書いてあった。 と書いてやった。
明日こそ と決めて 明日は と決めて
明日を迎える。 明日を迎える。
*
現在 彼女の家へ向かってます、
今日も連絡取れなかったので
直接会いに行こうと思い立ったのです。
電車が「彼女ホーム」に到着。
あと十分。
彼女に会いに。
**
今 彼の家へ向かってます。
今日も連絡取れなかったので
直接会っちゃえと決めました。
電車が目的地のホームに到着。
あと十五分。
彼に会いに。
**
どこ行っちゃってんだろ。
なんだかなー。
すれ違いすぎてきつい。
*
不在って寂しい。
何か邪魔する第三者がいるのか。
すれ違うのは何かあんのか。
寂しさ紛らわすために 運命を考えるために
一駅歩いた。 二駅歩いた。
はあーと思って見上げると むーと思い空を見る途中
彼がいた。 彼女がいた。
あっとして うおっと思って
思わず見続けた。 動揺して見続けた。
彼が動かないから 急すぎて動けない。
照れ笑いで手を振った。 照れ笑いで惚れた。
こっちから近づいて 彼女が大きくなって
彼がようやく笑ってくれて やっと笑えて
***
二人で一緒に歩いた。