盲目
はるな
きれいな字を書く女の子は目がみえなかった。
そこにはまったく目のきかない子供たちがいた。
子供たちは目が見えないところ以外は、そうでない子供たちと大差なかった。
つまりそれぞれの子供たちはまったく似たようにしか見えず、また、どの子供も理解できないほどそれぞれに掛け離れていた。
そこにはたびたび慈善団体の人々がやってきた。一緒に菓子をつくったり討論をしたり、点字で手紙を送りあったりした。
ある年にそこで慈善団体によって行われたクリスマスパーティーにサンタクロースが来た。
それで、女の子は字を練習したのだ。サンタクロースはきっと、目が見えるだろうから。
その場で手紙を開いたサンタクロースはその文字の美しさに息を飲んだ。
「素晴らしいよ!きみはとてもきれいな字を書く。信じられないな!」
サンタクロースは呟いた。
「信じられないとは、何事だ!彼女がまるで、視力のある人間より劣っているようにも聞こえるじゃないか。」
慈善団体の男は叫んだ。
少女は不安そうに言った。
「ねえ、私、そこに書いた贈り物をもらえる?」
少女が望んだのは新しい靴下だった。その施設の子供たちはいつも、慈善団体から善意で寄せられる、清潔なお古を着ていたから。
ところでクリスマスパーティーのレクリエーションでは、慈善団体の大人たちの子供たちと、目の見えない子供たちが一緒にゲームをした。
目の見える子供に目の見えない子供は聞いた。
「賛美歌ってダサいと思わない?」
慈善団体の大人たちはそれをほほえましく感じて満足した。
目の見える子供は目の見えない子供に聞いた。
「もし見えたら何が見たい?」
慈善団体の大人たちはすぐさま質問をした子供にたいするペナルティを考えはじめた。
目の見えない子供は言おうか言うまいか迷っていた。
あなたたちの目は物事を見るためについているのかもしれないけど、僕たちの目は物事を見ないためについているんだよ。