フィエスタ
竜門勇気


八分待った
待ち合わせに君は遅刻だ
皮のポーチを鳴らして
駆けてくる
苦笑いだけくれてやるよ
追いつくまで走るのは
君の当番だ

フィエスタは
まだこれからだ
人生がなにか芸術作品だとでも
思ってる奴には
この町は今恋の舞台にでも
見えるらしい!

まだ赤くなっていない
やかましい炭火に
串刺しの肉をくべるマディ
その隣で小言を投げるハーピー
\"あんたのやり方じゃこの町のすべてのガキ共を便所に拉致してるっていわれちまうよ!\"

酔っ払いが酒瓶を振り回して
俺たちはまた酔っ払う口実ができる
とても楽しいやり方だ

いつも閑古鳥が鳴いている
あの酒場にわざわざ並ぶ必要がなくなる

フィエスタは
自分の熱で溶けるピストンだ
人生を座って待っていれば
ただ始まって終わる
映画だと思ってる奴以外なら
誰かの家の呼び鈴を鳴らしてもいいことになっている

ハーピーは真っ赤な炭に
温かい息を吹きかけている
真っ赤な顔でジッポーをこすり
キャメルの端っこをあぶって笑う
\"どっちが酔っ払いかわかりゃしない\"
\"あのこをダンスに誘うんだね\"
\"うまくいったらあのこを私に紹介するんだ\"
\"あのこってのがはやくみつかるといいね\"

フィエスタは
俺には終わらない夜に見えた
去年も一昨年も
今年にはかないはしない
今年こそ終わらないんだ
人生が詩のように
始まりがあって終わりがあるものだと思う奴ら以外は!



自由詩 フィエスタ Copyright 竜門勇気 2011-06-07 12:56:04
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