くさかんむりの広がる野原で
草野春心
日曜日、
くさかんむりの広がる野原で
ピクニックをする
あなたは適当なところに
持ってきたもんがまえを敷いて
ここに座りましょうという
おべんとうよ、と
くにがまえの箱の中には
にんべんを煮たやつと
おおざとこざとの包み焼き
御飯にぼくは
れっかのふりかけと
しんにょうの漬け物を載せて食べる
日曜日、
くさかんむりの広がる野原で
他愛ない話をぼくたちは交わす
ごんべんとさんずいと
たけかんむりをまき散らして
そらを見上げるとあまかんむりが
ふわふわ白く流れてゆき
言葉たちはふいに
いっせいに息をひそめる
ころもへんの擦れる音だけ
風にきこえている
ぼくはあなたを見て
笑う
あなたはまるで
この世界はまるで
一つの
しめすへんのようだと
ぼくは笑う
ただ幸せで
日曜日、
くさかんむりの広がる野原で