目をつぶる。
M.N.

ふと、目をつぶる。


そこは青空。

私とあの子は空を飛んで

雲の上でキャッチボールだ。

あの子はボールを後ろにそらし

ボールは東京タワーに刺さる。


また、目をつぶる。


そこは仮面の国。

私とあの子は笑顔の仮面。

仮面に嫌気がさしたので

思わず仮面をかきむしったら

「可愛いね」と彼女は言った。


また、目をつぶる。


赤い月の国。

あの子をぎゅっと抱き締めたら

あの子のからだはドロリと溶けて

赤い月へと吸い込まれていく


ふと、目をあける。


白い天井。

私とあの子は大気に溶けて

町を流れる風になる。




自由詩 目をつぶる。 Copyright M.N. 2011-06-03 19:52:49
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