エイジ
茅野ゆき
私の顔は腫れ上がり
鏡の中に血まみれの女が泣いて居りました
一体何が悲しいのかも分からずに
とめどなく流れ落ちる雫
強くない心は
一つの願いを棄てて居りました
腹の中で息衝くイトシイ「モノ」
知っていましたか?
ここにある内の少しの期間
アナタはアナタではないそうですよ
アナタはヒトではないそうですよ
白い服を着た柔らかい笑顔の紳士がそう仰ったのです
ヒトゴロシではないのです、と
優しく、優しく
そう仰ったのです
強くない私でも
選ばなければならないのです
残された二つの選択肢
殺して生くか
一緒に逝くか
伝う涙を拭いながら
どちらにせよ
アナタに逢うことは出来ないのか
などと、考えながら
殺して生くか
一緒に逝くか
それだけが問題なのです