夏が来て
草野春心
夏が来て
巨きな足で僕を
やさしく踏みつぶしていった
蟻より小さく
原子よりもっと小さく
僕は
ただの言葉になった
それから南風に運ばれ
いくつかの美しい川を渡り
もの悲しい廃墟を過ぎ
あのひとのくちびるにふれた
夏が来て
僕はそんな夢を見た
目覚めるとそこは
世界のようでもあり
巨きな足跡のようでもあり
夏の抱く
ひとつなぎの思いのようでもあった
自由詩
夏が来て
Copyright
草野春心
2011-06-02 15:15:47
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