スポーティな女
はだいろ
落語を聞きに行くのが、
今は、楽しくてしょうがない、そうゆう時期なのだろう。
初心者だから、
いろんな噺に、初めて当たるのが、
小学生の頃の、
ガチャガチャみたいに楽しい。
今日は、有給休暇を取って、
行ってみたかった、近所のカフェで、
玉子サンドの朝食。
いい。
とてもいい。
天気もとてもいい。
自転車にのって。
窓のそとはうすぐもりに、すこし光がさす。
お店のお姉さんが、如雨露を持って、
ガラスぎわの植物に水をやる。
ぼくは、
ぼくの中が、ぼくじしんで、満ちわたってゆく、
その有り様をこころゆくまで味わう。
呼んだ女の子は、
ぼくがいつも望むような、去年の今頃の、あの子のような、
ピュアな、
恥じらう色合いがいとおしいような、
そゆう、女の子に来てほしかったのだけれど、
どんなに望んでも、
はずれのガチャガチャのように、
ずいぶんあっけらかんとした、
スポーティな、小麦色の肌の女の子。
びっくりしたのは、
キス好きなのはいいけれど、
なぜなのか、ぱっちり、目を開けたまま、キスをするのである。
ふつう、つむるでしょう。
と、言ったらば、
でも、見ているのが好きなのらしい。
それで、何度も、
目をぱっちり開けたまま、キスをする。
宝くじを買う。
あの、当たったら、三億円のやつである。
連番で、20枚。
もし、
これが当たったら、ぼくは、
仕事を即、やめるだろう。
それで、マンションを買って、
後は毎日、古本屋と、寄席通いで、
死ぬまで過ごしたい。
・・・
・・・
だけど、それは、きっと、違うのだろう。
もし、そんな生活をしたら、
寄席の噺の中の、
どんな感情も、
きっと、理解できなくなるに、違いない。
笑いは、
悲しみや、苦しみと、
こころとからだのように、
離れがたいものなのだ。
久しぶりに、ほんとうに、久しぶりに、
休んだ気がする。
楽しかった。
エロ本も買えたし、
ブライアンウィルソンの新譜も買えた。
そして、
もし、
会って抱きしめようと思えば、
抱きしめることができる彼女が、ぼくにはいる。
それで、
抱きしめずに、
近所の居酒屋で、
焼き鳥を三本、食べて帰るのだ。