虎視眈々
電灯虫

一度 目にした。
周囲の境目が 暗闇で塗りつぶされようが 何だろうが
シルエットは 目に焼き付けた。
逃げる可能生ごと 捉えつぶす。


周囲はこちらの都合と関係なく生きている。
思惑の邪魔や障害になりえる。
だから 自我と周囲の違いをなくすのでなく 
周囲も含めて自我を広げて 周囲を自分の胃に収める。
「邪魔」という概念を 力任せに消化する


最短距離を走る姿勢を探る。 
最長距離を行く肺を覚悟する。
息をすれば 数粒の砂が鼻に入る。 
鼻息でけちらかす。
二足歩行じゃ足りないから 両手も使う。
いい塩梅に曲げて 初速のきっかけに利用する。
地球の大きさを想像して 地面をカタパルトとする。
爪に入り込んだ石が 血を滲ませる。
指周りの砂が 血を吸う。
さっさと 乾いてしまえばいい。


照らされる光でできた影は
体育座りで地面に居る。
風が吹いて 薄っぺらいまま 飛んでいった。
この身の存在感が重くなる。
後戻りはない。
結果から逆算して タイミングを取る。
間もなく 飛ぶ。
その時を 待つ。


自由詩 虎視眈々 Copyright 電灯虫 2011-05-28 11:04:26
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