、(あめ)
乾 加津也

        むれる
        あめの
        おとが
        ことばに
        ちかく
        、 、 、

おぼれ
なき
ぬれ
それはおなじまま
いわれるまま
手をほどき
顔を
あらい

        瞼を
        おおきく
        しっかり
        あけても

あふれかえる
しけったえほんの
おり
せわしい
足の
しげみが
きしみ
ひろうで
みつめる
さきに
はしゃぐ
しかくの
テレビの
アニメが
はいいろの
せかいの
ゆうがた
といっていた
かたくなに
むすばれていた

        おなじいろした
        ひとたちから
        とおざかり
        いびつな
        わたしひとり
        びくうに棲みつかせた
        のは
        わりばしでっぽうの輪ごむがちぎれて
        掌の底がみえず飴玉のように抛られて
        しずんで
        ゆれる
        かあさん



とぎれとぎれに
つづく
あめすじ
おとも
やみ
おんどを
かえし

        あめ
        、 、 、 、

ぬれる
靴いろの
まなざしが

        ひとところからはしりさる
        国道にそって



なにもかも
やめられる
あめ

        、 、 、 、 、





自由詩 、(あめ) Copyright 乾 加津也 2011-05-28 01:41:13
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