ひと
たもつ

 
 
皮膚を持つ、
匿名の

 +

ひりひりした痛みを
登記するものとして


 +++


ひつじが忠実に
時計を分類している
広くて静かな
都会の一室、そして
ひまわりは鳴く
砦が陥落した後に


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ひとはもう
飛ばなくていいの?

 +

ひとりで
年を取っていくの?


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筆跡が幼いまま
冬眠する子ども
昼間のざわめく梢の下で
トロンボーンを担いだ 
非番の楽団員が
答辞を読み上げている


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飛行機雲、明日は
とってきて

 +

一口だけ
トーストをかじっているから

 
 +++


ひとは
特別なの?それとも

 +

ひとが
特別なの?


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人気のない背中が
通り雨に濡れている

 +

ひき潮の匂いを
トランクにつめる、音
 
 
 


自由詩 ひと Copyright たもつ 2011-05-26 17:33:37
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アクロスティック