世界を共有する密林
真山義一郎

もう二度と行かないし
もう二度と帰って来ない
フェリーの二等客室に籠りっきりで
俺はずっとノートに言葉を書きつけていた

海の色はクリーム色
世界は脅威だ
俺の知っていることは
世界のほんの一部のほんの一面だけ
それは君についても
自分についても

俺の心の中に
めちゃ広い町が広がっていた
その風景のひとつひとつを
誰かに説明したい
だけど、話を聞いてくれるほど暇な人はいないし
話してもわかってもらえないだろう
第一、 どう話していいのか、自分でもわからない

だから、俺は詩を書くんだね
小説を書くんだね
ああ、そうだ
そうに違いない

なんて、思っていたら
すでに下船時間で
早朝五時にも関わらず
やけに元気なお姉さんのアナウンスが聞こえてくる
もう、こういうの、嫌い
朝から元気いいのって、なんか嫌い

んでもって、急いで下船の用意をそっから始める
もっと早くやっときゃいいのに
などと自分を責めつつ
あ、ウォークマン忘れた
うわうわ
などと、焦りまくってデッキに出たら
朝焼け

俺はこの世界が滅びても生きるぞ
なんて
朝日に向かって宣言した
最近、テロリストのことばかり考えている








自由詩 世界を共有する密林 Copyright 真山義一郎 2011-05-26 01:50:40縦
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