出来心
シャドウ ウィックフェロー


君のことを想うにつけ
人生は出来事の連続というより
出来心の連続という気がする

次からつぎへと事は起こり
それは一見不可避なもののように見えているけれど
実はそこに身を置いた自身の責任でもある

かつて居眠り運転で死にかけたとき
まともな判断もできない状態になってさえ
ままよとアクセルを踏み続けた

酒を飲んで徹夜で車を運転するなんて
ほとんど自殺行為で
あるいは殺人者となっていても不思議はなかったのに

被害者の出なかったのはたまたま
繁華な通りでもなく
歩行者の多い時間帯でもなかったからというに過ぎないのに

事実として残ったのは
つまり出来事としては
自損事故と入院と保険金の受け取りだけ
でもそれらは全く
起きたことの全体を表してはいない

まったく出来心ってものは
自殺と事故死と殺人の区別もつかないような
とんでもないところへ
人を連れていってしまう




自由詩 出来心 Copyright シャドウ ウィックフェロー 2011-05-26 01:02:50
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