未練
シャドウ ウィックフェロー


なにも知らなかった
なにも分かってやれなかった
なにひとつ共有しようとしなかった

その希望も
その絶望も
その生まれなかった未来も

どこから来たのかさえ知らないのに
どこへ行こうとしてたのかなんて
分かるはずもないさ

ただ日常と常識のうえにあぐらをかいていた怠惰な視線のまえに
君はひとりの他者としてふたたび現れる

ほんとはすごく些細なことだったのかも知れないな

あるいはこの世界の根本にかかわる大問題だったのかも知れない

たぶんその両方だったんだろう
ひとが死ぬなんてことは

この世のあさましい姿と
罪もない子供たちや動物たちの苦悩
自らの非力と世界への絶望か

例えばそんなもので
ひとは死ぬこともあるだろう
泥酔して翌日起きれなかったひとのように


あるいは幸運と無神経に支えられて
漫然と生きることもあるだろう
それは醜いけれど

生きていればそのうちに
気がつくときも
来たかも知れないのに

変えようもないと
思いこんでいた自分が

思いもしなかった
新しい自分に

びっくりするような
そんな時が






自由詩 未練 Copyright シャドウ ウィックフェロー 2011-05-25 00:03:39
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