街
TAT
或る日曜日の午後に
丘を抜けビルを曲がり
川沿いの林道を走る
美しく鳴く小鳥と妻からの着信
明朝振り込まれる賞与
私は町を疾駆する
シルバーとグリーンで彩られた
その街は
メモリの森を抜け
ICチップの角を曲がり
トランスの丘を登ると
ハンダでなぞられた分譲地帯へ出る
私は私の妄想に
刹那泳ぐ
PC基盤の解体作業の合間
私はマザーボード上のいくつかの街を
破砕機に
投げ棄てる
やがて昼飯のベルが耳をつんざく
自由詩
街
Copyright
TAT
2011-05-24 23:00:09
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