浜辺にて
Giton
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寄せては返す波のようだと
きみは言う
波をかぶれば返りそうな
小さな舟にぼくらは乗って
それを岸から見ているぼくら
波寄せ来れば砂は崩れ
どこに運ばれてゆくのかわからない
かもめが銀色のせびれをさがして波に寄る
揺れる波頭に日の終焉が忍び寄る
寄せては返す波のようなぼくら
いつかは砂のように
崩れて無くなるのだろうか
どこからか来てしばしを憩いまた
どこかへ行ってしまう鳥のように
きみはぼくは流れているのだろうか
ふたりで そらを とべたら いいな
ふたりで そらを ながめていると
おおきな つばさの しろいとり
まひるの はまに おりてくる
やがて うみには 日がおちて
きみの からだは 指のした
きみの せなかの うぶげが のびて
おおきな つばさに はえかわる
ああ好きなんだ
いつもそればかり
いつでもいつまでも
きっときっとそればかり
.
寄せては返す波のぼくら
旅している自覚がもしあれば
またいかようにも援け合えるのに
それさえもなく
ただ寄せては返す波の列なり
ただ永久
に
この大地と海のあるかぎり
くりかえしくりかえし
倦むこともなく
寄せては返すことを
願うのみ
.