Picnic
高梁サトル

昼下がりにお弁当を持って出かけよう
どこまでも続く碧い草原で
スコップを持って半歩先を進む
木の下に何かが埋まっていると信じているのだろうか
あるいは花の下に

机の下で小さく丸まって眠っていた
「ママなんて死ねばいい」と言う
おまえが
なにより母親を求めている後姿に
ひっそりと呟いた

(ママって呼んでみるかい)いいよ)
(ままごとするかい)望むなら)
(そうしたらおまえは行くかい)(何処へ?)

望む場所には辿りつけないよと
悲しい顔をする
どうしてなんだろう
こんなに空は晴れて
小鳥は囀り風は木々を撫で
すべてはやわらかさに包まれているというのに

こう仮定してみようよ

スタートラインに立ててないから
デッドラインも見えなかったと
それさえも笑いごとですませてしまうんだ
三歩下がって
地べたの歪んだ白線に蹲ってキスをする

「つまさきの先の二人を隔てたこれが渇く前に」

暖色の言葉が
おまえの中でひとり歩き始める前に
ひとつの提案が反語として暴動を始める前に

朝起きて夜眠る反復の幸福
露の滴で裾を濡らして
小さな木の実でポケットを膨らませて

そしてうちへ帰ろう


自由詩 Picnic Copyright 高梁サトル 2011-05-22 22:36:52
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