切り取った夏
mizunomadoka
ペットボトル栽培の並んだ
彼女の菜園を見つめる
二匹の猫が
僕の気配に、耳を動かした
機械式の右手を上げて
敵意がないことを示す
猫はこちらを見ていない
夏の予行演習
あと1000年生きられますよ
生体技師の保証してくれる
身体
帰り道、僕は懐かしい
彼女の部屋だった場所を訪れて
猫と一緒に
ベランダを見上げ
ここから
最後まで
宇宙の終わりを見とどけたい
大切に作られた誰か
切り取った菜園
その小さな夏の収穫の
気持ちになる
自由詩
切り取った夏
Copyright
mizunomadoka
2011-05-22 08:29:11