七色の道化師からこんにちは
うんち

鏡の裏から七色の道化師がひょっこりと顔を出してこう言う、
この中に入ってみないかいとおおざっぱに誘われた、
箱の中に入ってはいかがかな?
箱の向こう側からは七色の幻がうねりながらこちらを傍観していたようだ。
ぼくが気付くとそのそれぞれの色の幻はスクリューしながら恥ずかしそうに笑った。
笑ったというのはみながくるりくるりと追いかけっこを始めようとしたのであり、
笑ったというのは散々に追いやられて散って行った幻たちの残照なのであった。
青と赤は桃を睨み、
桃は黄を阻む、
黄は紫のあっけにとられ、
紫は黒の中への行進曲の中突き進もうとする野獣を装う。
黒はあくまでも黒でありそれ以外の何者にも動じたくなかった。
黒の外側にはばらばらになった緑たちが守っている、
悟ったかのごとく、押し黙った沈黙の中で舞う、緑のカーテンのふちがやわらかに舞う。
道化師はまたこう言うんだ、
ぼくのこの箱はいかがかな?って!


自由詩 七色の道化師からこんにちは Copyright うんち 2011-05-21 03:32:56
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