あの世から
シャドウ ウィックフェロー
ふらりと君が帰ってきて
玄関に鞄を投げ出し
いつもの無表情で居間に入ってきたら
一体どうしようか
あんがい自然に
おかえりーなんて声かけて
当たり前のような顔をして迎えるかも知れないな
何処でどうしてたかなんてことは一切聞かずに
不用意な仕草や一言で君が消えてしまわないよう全神経を集中しながら
さりげなさを装って
何もかもを判断停止にして
君を受け入れようとするだろう
そんなことはあり得ないって分かってながら
訳の分からない想いがこみ上げて
毎日まいにち
じっと耳を澄ましている
鍵を掛けていない玄関に音がして誰かが帰ってくる
もちろん君じゃあなかった
やはり君は今日も帰ってはこなかった