★113 ボクノ、シシュウ
貴水 水海

あの人は悲しい人だった

公園のベンチで

名も無い詩人の詩集を読んでいた

落葉を栞代わりに挟んでいた


あの人は悲しい人だった

誤字脱字だらけの

名も無い詩人の詩集を燃やしていた

炎と煙が目にしみて泣いていた


その詩集は僕のだよ

僕のすべてをかけた詩集だよ

あの人だけには

ずっと持っていて欲しかった

僕の詩集


自由詩 ★113 ボクノ、シシュウ Copyright 貴水 水海 2004-11-10 00:07:57
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