登記
電灯虫
ふにゅっとした地面に打ち込む杭は
手で押すだけで十分に ぐにゅっと沈む。
見てて 不安定さが心配になるけど
倒れたら また立てればいいかなと思う。
引越しで使った 余ったビニール紐を持って
手前に立てた 杭を始点にして 杭から杭へと繋げてく。
繋げ終わったあと 登記官に申請に行く。
とりあえず 今月はこんなもんで やってこうと思う
と 一言添える。
登記官は 微笑み絶やさず 登記簿に署名を求める。
細めのボールペンを借りて 氏名を書く。
世界の署名に繋がる 氏名を書く。
ポンと 杭が飛ぶときがある。
ビニール紐は 簡単に地面に撓む
他の杭も抜けそうになる。
登記簿との不一致が 拡がってく。
歩いて直しに行く。
別の場所に杭を打ち込んで ビニール紐を結ぶ。
登記官をチラッとみて にこやかに会釈を交わす。
知ってたとしても 知らないとしても
何ら気にしない登記官に好感を抱き
それに乗じて
形がズレるわけじゃないから
電飾つけるのはアリだな と屁理屈を立ててる。