登記
電灯虫

ふにゅっとした地面に打ち込む杭は 
手で押すだけで十分に ぐにゅっと沈む。
見てて 不安定さが心配になるけど
倒れたら また立てればいいかなと思う。
引越しで使った 余ったビニール紐を持って
手前に立てた 杭を始点にして 杭から杭へと繋げてく。


繋げ終わったあと 登記官に申請に行く。
とりあえず 今月はこんなもんで やってこうと思う
と 一言添える。
登記官は 微笑み絶やさず 登記簿に署名を求める。
細めのボールペンを借りて 氏名を書く。
世界の署名に繋がる 氏名を書く。


ポンと 杭が飛ぶときがある。
ビニール紐は 簡単に地面に撓む
他の杭も抜けそうになる。
登記簿との不一致が 拡がってく。


歩いて直しに行く。
別の場所に杭を打ち込んで ビニール紐を結ぶ。
登記官をチラッとみて にこやかに会釈を交わす。
知ってたとしても 知らないとしても 
何ら気にしない登記官に好感を抱き 
それに乗じて
形がズレるわけじゃないから 
電飾つけるのはアリだな と屁理屈を立ててる。


自由詩 登記 Copyright 電灯虫 2011-05-13 00:38:13
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