おーい、雲よ
仁惰国堕絵師

一枚、二枚と雲母をはがし
石の欠片で絵を描いた

砕け散っては舞い上がり
藍に溶けてゆく粉塵は
何処かに漂うはずなのに
空の青だけ眼に痛い

三枚、しまいに雲母をはがし
石の欠片で絵を描いた

見えるはずない絵ができた
具にもつかない絵ができた
絵にもならない絵ができた
絵にもならなきゃ絵にあらず

おーい雲よ、おーい雲
君には見えるか?、僕の絵が

おーい雲よ、おーい雲
君、聞こえるか?、僕の音(ね)が

君には見えるこの絵なら
焼かずに部屋に飾ろうか
君には聞こえるこの音(ね)なら
捨てずに胸に刻もうか

おーい雲よ、おーい雲
おーい雲よ、おーい雲


自由詩 おーい、雲よ Copyright 仁惰国堕絵師 2011-05-12 18:01:47
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