むかしむかしあるところに
TAT









かつて炭鉱だった俺の棲む町は










名乗れば居住区と苗字から素性を検索される雪の深い町














夏は蜃気楼が脱水症状の舌をべろんと出す田舎村





















生き馬の目を抜く大阪はミナミに潰されて






二時になっても三時になっても眠らないオメコの臭いがする飛田の横のコンビニ2分のワンルームの水が合わなくて



















日給月給の職人見習い(2004当時)は当月分の二十余万抱えて淀屋橋の現場トンで川を目指したんだよ












河じゃなくて川









小川じゃなくて川




















































自分が生まれた京都の中心を井伏鱒二作のサンショウウオみてぇに妖艶に流れる鴨川みてぇな川






が見たくて奈良の一級河川に辿り着いた頃にはポケットのケータイを十回も二十回も切っていて佐藤さんアシベ隆一郎三沢社長大阪テックの三上さん大阪テック越智さんオカン南海貨物劉さんレジェンド(有)坂上レジェンド(有)G助みはるヒラリーノ会社直会社裏経理リサさん























俺はしょっぱい海水泳がされた淡水魚の目玉でぱくぱくぱくぱく















ぷちぷちぷちぷちビニールのプチプチ潰すみたいに社会との繋がりに背中を向けた




































どんぶらこどんぶらこと


おおきなももは



とくにながれては



きませんでした




















































かわりにいろいろなものが











ながれてはながれてゆきました
















































俺は本当にかっこわるいなあ





そう骨身に沁みた千日も二千日も昔











































































































































































けれど俺は死にたくはないから自殺はしないよ



































むかしむかしあるところに

















じいしきかじょうなすくいようのない










にんげんのかっこうをした

















にんげんもどきがすんでいました




































































自由詩 むかしむかしあるところに Copyright TAT 2011-05-10 22:41:58
notebook Home 戻る