夢の種
服部 剛
一日忙しく働いた後
たった五分でも本を読めば
のんべんだらりと過ごしつつ
一日一冊本を読むより
開いた頁の一行が輝くかもしれない
毎日なんにも悩まずに
呆けた顔をしてるより
あちらこちらにぶつかって
落ちた穴から地面に這い出す、顔にこそ
陽の光は輝くかもしれない
始めよう、たった今
腹の底からふつふつほとばしる
思いのままに
この両手の器に積もる
まぼろしの札束よりも
たった一粒の夢の種に
無限の思いを、詰めこんで
瞳を閉じた場所にある
誰ひとりいない畑で
しゃがんで埋めた光の種に
私はそっと、土を被せる