みかん畑
天野茂典

  




  ポンポンポン ポンポンポン
  焼玉機関の小型漁船が
  港をでてゆく


  蒼い空だ



  ポンポンポンポンポンポン
  まるでピクニックのように軽快に
  小型漁船は沖をめざす



  こんな凪は滅多にゃない


  
  息子の弔い合戦にしては嘘のようだ
  あんな大時化だったのに 息子は
  海に投げ出され行方不明になった



  いたたまれなくなってじいさんと
  ばあさんでポンポンポンポンポンポン
  小型漁船のエンジン響かせて


 
  沖合いいる息子に会いに行くところだ



  みかん畑が泣きながらみていた




                     2004・11・9


未詩・独白 みかん畑 Copyright 天野茂典 2004-11-09 12:51:07
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