喜怒哀楽
nonya


喜びが
駆け出していった方向を
振り返る

用心深く植えつけた
日々の暮らしが
そよいでいる

怒りが
駆け出していった方向を
振り返る

自分の窪みに貼りつけた
絆創膏が剥がれて
はためいている

哀しみが
駆け出していった方向を
振り返る

自分勝手に名前をつけた
花壇の花が
しおれている

楽しみが
駆け出していった方向を
振り返る

二度と開かないように締めつけた
巾着袋の紐が
ゆるんでいる

無闇に駆け出して
転んで怪我でもしないようにと
左右に4歩ずつ
前後に7歩ずつのところに
有刺鉄線を張って
電流も流しといたんだけど

どうせまた地平線の彼方を
目指してしまうのだろうな
傷だらけで駆け出していって
血みどろで帰ってくる
性懲りもない喜怒哀楽





自由詩 喜怒哀楽 Copyright nonya 2011-05-08 10:05:05
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