波打ち際で
北村 守通

流れ着いたもの達が
連なりあって
銀河を形成する

流れ着いたもの達は
連なりあっても
またたくことはない
再び泳ぎだすこともない

蝿すら寄り付かなくなった
白く
干からびた
魚体は
大きく
力強い
跳躍の姿勢のままに
時を止めている
エラは
大きく
力強く
開き
目は
確かめるすべは無いが
きっと
大きく
力強く
見開いているはずである

朽ち果てつつある
洗剤の空ボトルや
ページを固く閉じて
自ら立ち読みを拒否した
雑誌や
宿主を失った後に
新しい借り手を確保することの出来なかった
貝殻たちや
その他
色とりどりの
白にのみこまれつつある
朽ち果てつつある
幾万の
星達によって形成されている
銀河の
海の
静かなる
銀河の
海の中で

白にのみこまれつつある
魚の数々は
今日も
力強く
泳ぎ続けている


自由詩 波打ち際で Copyright 北村 守通 2011-05-08 02:56:35
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