集い
電灯虫

選択肢が重なり合う分岐点は 一同が集える。
互いに愚痴を言い合い 励まし合い
なんでこっちを選ばなかったと からかい合う。
同じ自分なんだけど 
選択しなかった向こう側の違いの分だけ
お互いの変化を見て取る。
幸せ不幸せの質や量を比べるなんて 無粋なことはしない。
だって その選択の真剣さについては 皆同じだから。


恋人絡みでもめるのは TVショーだけの専売特許じゃない。
ちょっと離れた向こうでは ピリッと効いた空気が漂ってる。
ポツリポツリとする会話の中 
それでも彼女を想ってる気持ちは同じだ。
何とも複雑な自分との関係に 
人事じゃなくなって酒をあおる。

そんなこちら側では
ひと際幸せな状況にある自分と 
ひと際不幸せな状況にある自分と
その間を取り持つ絵に描いたような普通の自分
三人が一直線に並んでる。 
そんな三人が微笑ましくなる。
そんな幸せを感じてる。


バカ騒ぎのあと 一同が解散する。
それぞれが帰宅した後はやっぱり寂しい。
きっと選択肢が重なり合う この分岐点は
選択肢の数だけ綺麗な図形を描いている。
そんな自分は 空洞の向こう側を思って 
手を添えるのが一つの儀式。
勘違いかもしれないけど 
自分の芯が鳴り響くのを感じて嬉しくなる。
シンとする向こう側 手を添えて残った後が消えるのも早々に
じゃあねと 手を振り 帰宅する。


自由詩 集い Copyright 電灯虫 2011-05-07 23:47:28
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