エタニティ
小川 葉



カルヴァンクラインの
エタニティという
香水の匂いがした

夕暮れ前の下町で

前を走る
自転車の奥さんは
推定四十歳前

最近できた
あのお洒落なマンションの
住人に違いない

と、思ったら
その方へ曲がったのだった

自転車籠にたくさんの
買い物を揺らして

妻にもエタニティを
プレゼントしたことがある
けど、好きじゃないから
一滴も使わなかった

それでこそ
わたしの妻だ

日が暮れた
暗闇の向こうから
自転車籠を揺らして
帰ってくる

それが
わたしの妻だ

汗の匂い以外に
何もしない

永遠の
わたしの妻だ



自由詩 エタニティ Copyright 小川 葉 2011-05-07 22:02:14
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