うずまき
電灯虫

左手の親指が上で 右手の親指は下に
何回かこする。 不思議と落ち着く。
今日はもう満ちるつもりはないみたいだ。
見ていても分かる その粒の1つ1つは
ナイーブなくせに とても頑固で ほっとけない。


直径にして 約15cm。
円というには 個性があるその曲線を描いている。
今夜は渇きを決め込んでるけれども
その様相は 気まぐれで 
満ちる時は 透明な水を目一杯 縁の外へ 溢れさせ
沸き立つときは 自身も焼いてしまうぐらい 沸く。
泣きたい時は 水面を一生懸命 揺らして泣く。
にこやかな時は 光から意思をもって飛び込むくらい 楽しそうに出入りしてる。
法則なんて 帰納法が泣いて帰るくらい ないみたいだ。


言葉を聞き 理解もする。
聞き耳なんて見えないけど
誰よりも 真摯に 全てを理解しようと聞き耳を立てる。
見てて思う。 
純粋にあこがれてたときもあったけど 
純粋なんてなるもんじゃない。
一方だけじゃ。
そんな 大人な意見に すごくチクチクする。


右手人差し指の腹の部分 うずまきを丁寧に描く。
巻くためにベクトルを変えていく指使いで 
自分の中にも同じうずまきが描かれる。
気持ちよすぎて 泣いてしまいそう。


見ることで 居ることで
繋がることが宣言できる。
好きで見てる。 気になってしょうがないから。
遠慮なく。 僕も遠慮なんてしない。


自由詩 うずまき Copyright 電灯虫 2011-05-07 00:45:23
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