草野春心



  おりてくる歌がある
  そっと
  糸が垂れるようにして
  卵を割ってるときなどに



  ひねりだす歌がある
  ぎゅっと
  譜面に手をつっこんで
  赤子を堕ろすようにして



  泣きじゃくったあとに
  笑う顔がある
  殴りすえたそのあとに
  撫でる手がある



  すべては塗り重ねられ
  曖昧な
  虹のようである
  心というこころに
  そっと架かる歌である





自由詩Copyright 草野春心 2011-05-05 09:35:19
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