わたしのかわいい少女たち
アヅサ
神様の手のひらから粉のような星が
銀紙のような雪が
娘たちのまぶたにふりかかって
あたたかい子宮に
世界中の悲しみが戻っていく
なにもこわいことはない
宇宙の奥の奥のような
青いドレスが彗星とおなじ色で
正確な軌道をえがいているわ
サーカスがこわいと泣いた娘
心配いらないと笑う娘
彼女らの濡れた瞳がつるりとして
銀河にとどくようなまつげが
この先の未来を知っている
悲観する必要など
どこにもないと
おさない子供をみつめる女の唇は
娼婦のように赤くそこにたたずむ
その横で 男のために下着をなおす
娘たちの頬が宝石のような月光で
しんしんと冷えていく
間違っていることなどひとつもない
この世界にあるのは
娘たちの涙のあとの
やわらかな寝息だけ
そこにたむける花はいらない
冷たい暗闇があればいいのだ