わたしのかわいい少女たち
アヅサ

神様の手のひらから粉のような星が
銀紙のような雪が
娘たちのまぶたにふりかかって
あたたかい子宮に
世界中の悲しみが戻っていく
なにもこわいことはない
宇宙の奥の奥のような
青いドレスが彗星とおなじ色で
正確な軌道をえがいているわ


サーカスがこわいと泣いた娘
心配いらないと笑う娘
彼女らの濡れた瞳がつるりとして
銀河にとどくようなまつげが
この先の未来を知っている
悲観する必要など
どこにもないと


おさない子供をみつめる女の唇は
娼婦のように赤くそこにたたずむ
その横で 男のために下着をなおす
娘たちの頬が宝石のような月光で
しんしんと冷えていく
間違っていることなどひとつもない


この世界にあるのは
娘たちの涙のあとの
やわらかな寝息だけ
そこにたむける花はいらない
冷たい暗闇があればいいのだ


自由詩 わたしのかわいい少女たち Copyright アヅサ 2011-05-03 23:47:52
notebook Home