九のために菜の花は揺れる 揺れる、そば近くに九は佇む 地面と空の倒錯を耳の奥で知って 九の足下は果てしなくしずむ どちらがどちらであっても構わないのだ 太陽が地上であっても 菜の花が自分であっても 自分が菜の花やそれ以外の全部であっても やはり九のままであっても いななきは角笛のようにやって来て 九は春風の中を走る馬 素早く、なるべく騒ぎ起こさず 落下する雲を横切るよ ふと仰ぎ見ると、九の覗き込む顔 菜の花の海に広がって 九、探り打つようだね いつの間に、そこに戻ったの