理来

あと九作品だ、が目の前を通過する。
あと九作品なんだよ、よ。到達まで。
今まで侮っていた。
こんなに長い道のりだったなんて、思わなかった。
この前初めて気付いて
やっちまったなー。
後悔したこと。
作戦会議室の門をくぐるには
もう一度最初から
やり直さなければならないということ。
そこが開かれているか、閉ざされているか
で、比較すれば
やっぱり開かれていた方が
お得。

特別会員。
上得意様。
年会費無料。
――無料。

書くぞ。




  九のために菜の花は揺れる
  揺れる、そば近くに九は佇む
  地面と空の倒錯を耳の奥で知って
  九の足下は果てしなくしずむ

  どちらがどちらであっても構わないのだ
  太陽が地上であっても
  菜の花が自分であっても
  自分が菜の花やそれ以外の全部であっても
  やはり九のままであっても

  いななきは角笛のようにやって来て
  九は春風の中を走る馬
  素早く、なるべく騒ぎ起こさず
  落下する雲を横切るよ

  ふと仰ぎ見ると、九の覗き込む顔
  菜の花の海に広がって
  九、探り打つようだね
  いつの間に、そこに戻ったの





自由詩Copyright 理来 2011-05-03 00:02:26
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