GWの女たち
はだいろ

近所の商店街で買った、
手羽先を食べながら、
ゴールデンウィークの最初の3日間で、
遊んだ女について語る。
ジョン・ウェズリー・ハーディングを聞きながら。

初日。
って、もうおとついになるのか。
池袋のカラオケ屋の前から、
店に電話して、
近くのラブホテルで待つ。
蛍光ランプで、白いシャツが青白く光っている。
あれから、
ということは、3月11日から、なのだけれど、
やはり、ぼくの中でも、
なにものかが、はっきりと破壊されたのだと、思う。
それで、いったい、どうしたらよいのか、
わからず、途方に暮れて、
新しいお店で、新しいことを試してみる。
アナルファックのお店で、
ぼくは、初体験だったが、
女の子は、まあ、どう見ても21才ではなかったが、
でも、そんな、決してひどい子でもなく、
こんな子のおしりをもらっちゃうのは、
いけない気持ちで良かった。
いけない気持ちだけが、素敵な気持ちなんじゃ、ないのだろうか。
ぼくはいつもそう思うんだよ。
ローションをたっぷりつけると、
ぬめり、つるり、
という感じで、おしりの穴のなか、
ぐいぐいと締め付けられ、
どうして、アナルファックのお店なんかで働くのだろうと、
好奇心を働かせたら、
その子の言うには、
あそこに入れていいのは、好きなひとだけよ。
ということで、わかったような、わからないような、
苦笑いして、一度体験しとくにはいいけれど、
おまんこのほうがいいなあ、とははっきり思えた。


二日目。
ということは、昨日は、
ストレスがたまると、たまに泊まっているシティホテルに、
人気でなかなか予約の取れない女の子の、
予約が17時に取れたので、
午前中はプールで泳ぎ、
自分のなかで、破壊されたものがなんなのか、
そして、
まず、ここから回復するために必要なことはなんなのか、
平泳ぎをしながら考える。
きっと、まず、がれきを片付けることから、
始めなければならないのだと思う。
ひとつのがれきを取り除き、次に、
また、ひとつのがれきを取り除く。
ひとつずつしか片付けられないのであり、
時間の流れのなかで、
ぼくの再生がなされなければならない。
喪失したものは、
けっして再生されないものも含んでいたはずであり、
ぼくはもう一度生きるときに、
その喪失に確かに、今度こそ耐えきれず突き当たるだろう。
でもそのときまで、
ぼくはがれきをひとつずつ、片付けつづけなければならない。
やってきた女の子は、
急に生理になってしまったらしく、
キャンセルの選択肢もあったのだけれど、
せっかく取れた予約だから、
まあ、いいか、と、
会ってみれば、
さすがに、さすがに、
素晴らしい女の子だった。
デリヘルの女の子として、
(個人的な相性は別にすれば)
第一級の女の子というのは、
お客さんの気持ちを、明るくしてくれるような子だと思う。
そして、ぼくのこころは、明るくなった。
生理だから、あそこを触れなかったけれど、
そんなことは、なんでもないことだ。
ありがとう、って、お店のアンケートにすら答えてしまった。


最終日。
今日は、横浜へ行って、
グループ店のHPで、ずば抜けた美少女の予約が取れたので、
東海道線に乗って、
サンクスの前で待ち合わせたのだ。
いっしょにゴミ箱のとなりで待っている、
冴えないオタク風の男が、
やっぱり同じ店の利用者だったみたいで、
やってきた女の子が、
あれ、どっちが私のお客さん?
って感じでまごついていた。
ありがちなのだけれど、
HPの写真では、見事に修正して消されていた刺青が青く、
ぼくは刺青は苦手なので、
もうちょっと、
3日連続だし、
途中でなんだか眠くなってきて、
後はお話をすることにした。
心理テストをやってあげると、
(この心理テストは、100%風俗嬢に受ける。)
見事に当たっていて、
幸せを、どんなにつまらないプライドが邪魔をするのかということについて、
小さな看板娘と話し合った。
多くのなにものかが揺り戻され、
ぼくの閉じ込められている宇宙は、
ぼくの行きたい青空の下にはつづいていない。
ジョン・ウェズリー・ハーディングもB面にひっくり返した。
明日一日職場に行き、
そのあと、
あの人と、デイトをする。
ねえ・・・
ぼくのことが、ほんとうに好きかい?
いっしょに浜辺で、がれきをあつめて、
焚き火をしてくれるかい?


手羽先についたタレで、
手がベトベトする。
読みかけの本を呼んで,夕方を過ごそう。
そして9時になったら、
あの人に電話しよう。
あの可愛らしい声がいま、なつかしいんだ。















自由詩 GWの女たち Copyright はだいろ 2011-05-01 17:06:34
notebook Home 戻る