君が殺した僕と君。
ユーリ



君が覚えていることを、僕が忘れてしまった。
君に話したいことがたくさんあった。
僕の記憶に残った、わずかな空白。
ずっと、ずっと溜めて大事にしてたんだ。
確かにここにあったんだ。
でも、どうして?
僕の袋の中は、いつからこんなに明日のことでいっぱいなの?
あの頃の僕が少しずつ、君と消えていく。
手をのばして、抱きしめても、ただ言葉も少なくて。
記憶が戻らない。
巻き戻しても、もう聞こえない。
大切な君の言葉、僕の約束。

ごめんね。

ふとした瞬間に気づいたとしても、
僕にとっては一瞬の懺悔でしかない。
悲しいと泣いたのに、理由を覚えていない子供みたいに。
昨日のこともぼんやりしている。

ぼくが、日々殺している僕。

生き返ることもない。
殺したことも忘れている。
何度も振り返るくせに、その死体はかすんで僕に見えない。
昨日は僕を殺して、君を忘れた。

今日は、僕、君の約束をやぶったかも。

ごめんね。

無邪気に君を殺しにかかる僕は、
いつもキョーキをどこかに忘れちゃうんだ。
明日は、僕が君に殺される番。

どうか、君が殺した僕を見て泣きませんよう。



自由詩 君が殺した僕と君。 Copyright ユーリ 2011-04-29 02:44:39
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