君が殺した僕と君。
ユーリ
君が覚えていることを、僕が忘れてしまった。
君に話したいことがたくさんあった。
僕の記憶に残った、わずかな空白。
ずっと、ずっと溜めて大事にしてたんだ。
確かにここにあったんだ。
でも、どうして?
僕の袋の中は、いつからこんなに明日のことでいっぱいなの?
あの頃の僕が少しずつ、君と消えていく。
手をのばして、抱きしめても、ただ言葉も少なくて。
記憶が戻らない。
巻き戻しても、もう聞こえない。
大切な君の言葉、僕の約束。
ごめんね。
ふとした瞬間に気づいたとしても、
僕にとっては一瞬の懺悔でしかない。
悲しいと泣いたのに、理由を覚えていない子供みたいに。
昨日のこともぼんやりしている。
ぼくが、日々殺している僕。
生き返ることもない。
殺したことも忘れている。
何度も振り返るくせに、その死体はかすんで僕に見えない。
昨日は僕を殺して、君を忘れた。
今日は、僕、君の約束をやぶったかも。
ごめんね。
無邪気に君を殺しにかかる僕は、
いつもキョーキをどこかに忘れちゃうんだ。
明日は、僕が君に殺される番。
どうか、君が殺した僕を見て泣きませんよう。