耿耿
やや

これが嘘だと言って、あなたはどこまで信じてくれるだろう

なぜなら私は
自分が正直者であることに
誇りを持っていて
あなたは私が嘘を付けないのを
私以上に理解してることを知っている
ことを知っているから

オレンジ色はタブーなのだと、今なら断言できる

美しい朝焼けが身を焦がす
室内外に灯るライト、燃え盛る炎
きっかけは、余りにも些細で
それが時折腹部をくすぐる
この感覚の色は紛れもないオレンジ色
焼けた肌と、日に透ける髪と、私の記憶
この色には悪魔が宿る
思い出す度に呻くのを止められない
私は、嘘が付けない

砂の感触が気持ちいい
青空が美しくて
風が、みなを平等に愛撫して
優しく、、、
美しいものはそれだけで愛する価値がある
言葉を失って、ただ見とれるばかりで
これが夢だと何度も確認しあった
私に少し似た、全くの別人
ただ楽しみを追求する
(いいことばかりしよう)

私の知ってること知らないこと
全てを共有するには言葉が、足りなく
けれどそれで構わない全くの夢の中
自分の感覚のみを貪る
何も沁みこまない肌の上
ただ、欲求だけで、それだけで
止めることが、出来なかった
私は、正直にも

懺悔をして許されるなら毎晩だって出来る
のに、私は神も神父も知らないので
ただ過去を、ばら撒いて歩くことしか許されない
誰も許してくれない
私は口を閉じて行くしかない。

(無神論者だと言ったあの子は死んだ後どこに行(考えるな))

本当のところそんなに複雑なことじゃない
ただ、起こったこと
何にも不快なことはない
だって罪って甘美で柔らかくて良い香りで気持ちが
(嘘)
開放なんてされてない
ただ、起こったこと
冷静にいられている自分が許せないだけ
(嘘、そう繕って許されたいだけ)

懺悔で許されるなんて思ってない
(一生苦しんでいくんだ)
(そんなに大げさなことかい)
(認めたら楽になるよ)
(見栄張って)

(懺悔をやめろ)

言葉すらも見つからなかった夜のことを
思い出す度に(オレンジ色)
六感があまりにも正直に(呻く、疼く)
ため息(後悔と歓喜の)

海の近くはいつだって風が強い
暴風なんて日常茶飯事
落ち葉みたいにみな掻き乱されては
何事もなかったように生きていく

これが嘘だと言って、あなたはどこまで許してくれるだろう

なぜなら私は
自分が正直者であることに
誇りを持っていて
あなたは私が嘘を付けないのを
私以上に理解しながら許している
ことを知っているから


自由詩 耿耿 Copyright やや 2011-04-29 01:15:08
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