白色バーニング
mizu K
うたがきこえる
絶唱というほどのしずけさで
明け方の信号機の明滅をみて
ふいに口をついた
うろおろのむしと
そのとき手にしていたものの
かわらない白さが
指に食い込んで
ただ塩基とつぶやいて
ウロボロスかと
そう明け方に尋ねて
キッチンの
ブロッケン現象に嗚咽した
函館には降りたことがない
配列が間違いをひきおこした
ある戦慄が波紋のように広がって
椋鳥の羽にふれない袖が
なのにその湿度がわかる
ふしぎなほどに
蝶の葬儀を見送って
白色にぬられた霊柩列車が
今日はストライキだからと
途方に暮れていて
わたしたちは抗議する
明け方があんなにひそやかであったのにと
絶叫のようにしずかに
爆発的にしずかに
抗議する
よりいのちの短いものを
指でなぞり
たどたどしい挽歌で
燠をふところに
カラスの行列のように
ただただ練り歩く