夏の始り
蒲生万寿

樅の木の側を通る時
風が傍らを過ぎて行った
針葉樹の若葉もやはり若葉らしく柔らかい
初夏の午前の空は広く
雲は脇に浮かぶ
鳥逹はそろそろ繁殖を迎える
生命あるものは躍動感に溢れ
この季節の中にのめり込む

昔の詩人は歌った「この季節を楽しまぬ我は何ぞ」と
私は歌う「さらけ出せ、それはお前のものだ」と

目の前にあるものは皆
私の耳目を通し心を打つ
季節は絶えず私と共にあることを忘れるな
それぞれが立派に独立したものであり
何ら隔てのない世界がそこにある
季節がそれを教えてくれる

さぁ、楽しめ
私は自由だ


自由詩 夏の始り Copyright 蒲生万寿 2011-04-28 14:57:05
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