半端の効用
電灯虫

きっと
当たり前すぎて前景化しない
大事な「大切」と抵触し続けているから。


しこりというには形はなく
重石というには存在感が希薄。
だけど気持ちの辛さは確かにそこにある。
場面場面で類似の要素を見つけたら
勝手気ままに思い出て
じわっと拡がり、
関係ないはずなのに
これからの選択を重くする。
でも
忘れるという積極的特別扱いで囲ってしまうと
変な根のはりかたをして
もう面と向かってしゃべれない。
背中だけで接するのは
存在を感じる分だけ互いを駄目にしそう。


辛さを置けるスペースがないなら
心を三次元にして
宙ぶらりんにぶらさげるのも一つの付き合い方。
苦味のあるそれぞれが中空で揺らぎのままにブラブラして
カビないのがうたい文句のステンレスのヤカンで
湯飲みに直接注いでできたほうじ茶を飲む。
真面目でもなく、不真面目でもない、
どっちでもないことが
価値判断を越えて存在を認めることもあるようだから。
同居のあり方としては、そんぐらいの半端でいい。


自由詩 半端の効用 Copyright 電灯虫 2011-04-20 00:32:02
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