半端の効用
電灯虫
きっと
当たり前すぎて前景化しない
大事な「大切」と抵触し続けているから。
しこりというには形はなく
重石というには存在感が希薄。
だけど気持ちの辛さは確かにそこにある。
場面場面で類似の要素を見つけたら
勝手気ままに思い出て
じわっと拡がり、
関係ないはずなのに
これからの選択を重くする。
でも
忘れるという積極的特別扱いで囲ってしまうと
変な根のはりかたをして
もう面と向かってしゃべれない。
背中だけで接するのは
存在を感じる分だけ互いを駄目にしそう。
辛さを置けるスペースがないなら
心を三次元にして
宙ぶらりんにぶらさげるのも一つの付き合い方。
苦味のあるそれぞれが中空で揺らぎのままにブラブラして
カビないのがうたい文句のステンレスのヤカンで
湯飲みに直接注いでできたほうじ茶を飲む。
真面目でもなく、不真面目でもない、
どっちでもないことが
価値判断を越えて存在を認めることもあるようだから。
同居のあり方としては、そんぐらいの半端でいい。