春色の死
曳舟
少女だった私が 紡いでいた唄は
大人になる私に 届かないで消える
全てをもう何もかも 過去にしてしまいたくて
あの頃握り締めていた 嘘を嘘に返し
踏みしめていたはずの 現実は未だ見えず
たった今のこの今も まだ虚構のまま
くるくると回りながら フェードアウトする
何にも触れられないまま 私だけ透き通る
クロスフェードされた 数え切れない声は
遠い日のまぼろし、もう描けないサイン
花咲く季節にかつて 育てた賛歌は
もう芽生えぬ喜びへの 追慕へと変わり
全てを追い出した心で 乾いていくだけ
春を飾る言葉すら 分からなくなっただけ