田原俊彦
はだいろ
田原俊彦君は、
ぼくの友達と同姓同名だった。
スターだった。
ぼくらはテトラポットで、
いちご味のポッキーをくわえて、
世のはかなさについて語り合った。
ぼくの友達は、
とてもでぶだったから。
一本でもにんじんなんて、歌えなかった。
釣れたさかなも放してやった。
ごめんね、くちびる、痛かったでしょう。
もしも、きみ、ねえ、
ぼくが、自由に、足をあんなに高くあげて、
踊れたら、ぼくは、
もううちには帰りたくないよ。
旅に出ようか。
自転車、あぶらをさしてさ。
薄暮につけたてのヘッドライトが、
ぼくらの背中を照らしていった。
大人げな女の子の横顔、
あれが、
哀愁のでいととゆうやつだったんだろうか。