落ちるひと
恋月 ぴの

わからないから不安になるんだよね

好きなひとの心うちと
明日の空模様

開けてびっくりでは困るけど
あてにはならない春の天気予報を頼りに
ご機嫌いかがなんて訊ねてみる

わたしから好きになってしまった弱みなのか
腕組みなんかして如何にも不機嫌そうな横顔に二度惚れしそうで

あれは河豚の競りだったっけ
袋で隠した指の握りぐあいで値がついてゆく

ええか、ええか

って、おとことおんなの真剣勝負

好きになったら負けなんだ

ええか、ええか

相変わらず湯気のような白い煙もくもくしてるし

ええか、ええか

確かに自販機ってあり過ぎるんだけど

建前論だけでは物事は進まないとしても
相変わらずごにょごにょ暗がりで蠢いているし
止まったままのエスカレーターはどうにも歩きにくくて

ステップに躓いたわたしを支えてくれる優しさに

ええか、ええか

はなから勝負に負けている









自由詩 落ちるひと Copyright 恋月 ぴの 2011-04-18 20:15:45
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