ゆめのゑづ (幻肢の砦たち)
乾 加津也

底ふかい
ながれる霧の
亡失のよあけに
サインのかげりがうかびあがると
ゑづは
狂いはじめ
つよくあしでまといの舌苔
怪訝と
したたりで
烏合を吐きだすつぶてに
そまる




あゝ
おゝきな瞳を
すてずふみゆく少年よ
霧がとれるまでまち
じぶんなりの
 正義にそつて
 怯懦をたどり
はじめから順に考えなおそうと
かぞえ
窄まる
水うみに
こしかけた
扁平の
ウキクサよ


     つらなる
      丘では
 濡れいろの馬沓が
       ゆれ
      しずみ
       ?游
       すら させず
       さしえず


未知(求めと与えの遡及)は
指をかたくくみあわせ
やみの
黄斑を
みちびき
こがれ
いずれ
よあけまえにひらく
ギリシアの
石竜子の鱗のような
うた
かた




みなぎる
おゝきな瞳を
すてずふみゆく少年よ
ゆめのゑづはうずき
なをも
たなびく
あこがれのための
やはり孤独な
きみ






自由詩 ゆめのゑづ (幻肢の砦たち) Copyright 乾 加津也 2011-04-18 15:53:20
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