右利き
たもつ

 
 
消しゴムを食べていると
母が気を利かせて
夏みかんのジャムを持ってきてくれた

消しゴムなど食べられるはずもないから
いらない、と断ると
代わりにコーヒーを入れてくれた

やはり消しゴムにはコーヒーが合うなあ
そう思いながら
またひとつ消しゴムを口へと運ぶ

母は嬉しそうに
立ったままこちらを見ている
右利きなので
海の右側に立つ癖がある
どんなに海から離れていても 
 


自由詩 右利き Copyright たもつ 2011-04-16 20:03:20
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