2006-2007 刺青、あるいは痕跡
はるな


それがまるでさいごだってみたいにせつないかおしてくれよ。
願うだけせつなくなることをなんでもして

*

いろいろな噛み心地のプラスチックを食んでいる感覚
自分自身をつみあげた先からとんと落とすときの快感
その余韻で遊び続けられてしまう幼稚さへの嫌悪感と
何を手にしたでもない癖にふっと訪れる喪失の手触り

世の中に存在する全てのものから隔絶している気がした
それは自分が特別だとかそういう事とは全く違っていて
紛れるが故の小狡い安心に世界の方が先に気付いた様な
中に残るのはどちらが取り残されたのかわからない不安
見抜かれていたことへの焦燥感と羞恥 意味の無いこと

*

朦朧として凡庸さを受け止めそうになる 違うこれじゃないと踏み止どまることが何になるってゆうんだろう?

*


 や    
   っちゃ え
       ば
       よ
         かっ

           た
          な
 
    お
   そ
      い、  か



*

できたらいつだって自分のてと意志で引金をひきたい

*

でもせかいは手に入らない.続けるための意味なら不要だ 後付けはいつもうすぺらい。愛してても、許せなくても、終われないなら続けるしかないいつもそうです。ぼくたちは正しいもののない二者択一で遊んでいるきもちになれてしまう

*

だれかのせいにして生きてる潔くない汚い汗をかいて、カーテンがゆれる速度にもついていけなくなるそうゆう気持ちでいる

*

性欲、眠気。寝ても寝ても寝たりない。ずうと眠っていたい。嫌悪。身体への、女性性への、男性性への、性的な行為への嫌悪。
醜型恐怖。自分の身体への恐怖と憎悪。また、醜いものへの関心。性と生への憧れと嫌悪と好奇心。興味、好奇心。セックスするときのぞうっとする心地への、おそろしい陶酔への嫌悪。拭っても拭ってもびたびたと体中にこびりついている気がして吐き気がする。わたしは血が滲むまで洗いたい。
死ぬことへの憧れ。変化することの恐怖と憧れ。また、不安。変化しないことの不安。内部、もしくは外部に満ちた矛盾。
希薄な客観性。繋がることの渇望。肉体的に、精神的に繋がること。また、繋がることの諦め。根強い諦め。それでもまた、渇望する。自己陶酔。自己への多大な関心。甘さ、緩さと、温さ。
他人への無関心さ、冷酷さ。厳しさ。自分の弱さ。弱さへの恐怖。恐怖感への嫌悪。嫌悪感の圧倒的な存在。

嫌悪、吐き気。吐き、刻む。罪悪感。罪悪を感じるときの陶酔をまた憎み、くるくるとループが続く。続いている。欲望。罰されたい。が、誉められたい。一番は、やはり、繋がっていたい。責任の放棄を望む。どうだっていいよ、という言葉の意味。
救いが欲しい。救われたい。赦し。赦しを。但し、請うことはしない。怠慢。赦しがほしい。意味の無い「なぜ」。時間。経過、変化。ターンして戻ってくる吐き気。欲求、欲望。世界。認められたい、赦されたい、ここにいてもいいよと、望まれたい、わかりやすい言葉で愛されたい、とてもわかりやすいことばで。
望み、まだ何かあると思ってしまう、思って、何もないのかもしれないという恐怖、だからわたしは覗いたりはしない。「楽しいよ」と言われればなんだって良い気はしている。その場しのぎの快楽。溜め息、混濁することを決めた意識。放棄された内部、「参加していない」と言われれば途端に仲間外れ。
何もかもに恐怖が付随している。一番後ろにきちんとくっついている。見えてしまう見てしまうわざわざぎんと目を凝らして。臆病なのはわたしだ。手を切ってくれ、自分では何もやりたくない。もう、見たくない、聞きたくない、したくない、生きていなくていいけども、死にたくないわ、とゆう、三時。耳の奥の方はいつもパーティなのだ。わたしがしゃべっている。それが「だれか」でないことをわたしは知っている。知への欲求、ただし勝利は場合により異なる。弱さで以って味方をつけることが出来るなら。勝利よりも地位の高さが欲しい。正義はとくに必要ではないが、場合によっては自分を救う材料となるかもしれない。要するに、とにかく何でも欲しい。努力せずに、寝たままで。口を開けることもなく待っている。

こわい。生きているのはとても恐い。
変わっていくのが、変わらないのが、自分が他人と違うということが、自分が他人と同じということが、セックスが、女が、男が、両親が、学校が、道が、朝が、夜が、昼間が、太陽が、月が、時計が、恋が、優しさが、眉毛が、バスタブが、電気コードが、租借が、自分自身が、携帯電話が、少なさが、多さが、悲しみが、椅子のカバーが、CDジャケットが、鏡が、陰毛が、爪が、夏が、春が、冬が、秋が、紅葉が、値上げが、温暖化が、錠剤が、甘い言葉が、励ましが、慰めが、境界線が、昨日の出来事が、繋がっていることが、繋がっていないことが、繋がればいつかは切れることが、どうしようもなく不安で、こわい。
助けて助けて、の余白と、救ってずっとそばに置いて人形みたいに何もしゃべらなくていいから、「うんわかった」「それだけ」「いつものやつを」と「連絡だけでも」と「もういいから」と暖かいスープに溶けた冷たいまなざし、マウスパッドの凹凸と、一緒だよ、という言葉のうすっぺらさ、わたしの薄さを見透かされたようで、結局ちっとも暖かく感じないよ。すぐに感化されてしまう、弱さを指摘され、動揺、動揺「!」、それを忌む。安定していたいのだ。安定。それをわたしは崇めよう。安定は非常に重要な要素のひとつだ。何にとって重要なのかはまだわからない。まだわからない、たくさんの物事。19年という数字。記号。暗号かされた日常会話。それもまた恐怖。もう一つの座席。何食わぬ顔の友人、本当に友人だったか、何一つ定義づけることができなかった、まみれる、腐臭に、手垢に、くだらない欲求に、堕落に、まみれる。布団からの悪臭、からからになった二週間前の嘔吐物、わたしにならなかった半液体。ごめんなさい、ごめんなさい、何に謝罪しているのかがわからない。いつだってそうだ、わたしはいつだってそうだ。
消えることの出来なかった「さようなら」、「いつも」も「みんな」もどこにもない。
理由もない。欲求がある。それはいつもある。なぜあるのかがわからない、欲求と罪の意識。キリストをレイプしながら、わたしはいつも泣きたくなり、土の向こうに向かって「ごめんなさい」。もうしません、と頭の中で唱えながら、わたしは我慢をしたことがない。「ごめんなさい」と「もうしません」。赦されたく、赦したことはあるのか。他人を考えたことのない脳みそ。赤ん坊の叫び声と青いマニキュア、薬物摂取、錆びたカッターナイフ、そして替え刃。ノートの切れ端を噛んでいる。「かわいいね」と「ずっとそばにいる」と「まもりたい」を丁寧に口の中に戻してお腹を割かせてください。おねがいしますおねがいします、わたしは盛大に嘔吐する。これ以上は無いと思っているのだが、いつの間にわたしは願っているのだろうか。下手に出ることに苦は無い、いくつでも土下座しよう、頭の形が変わるまで、虐げてください、と、それで少し赦された気になれるから。ろくでもないのは承知で、偽造を悪とは思わない、行為が悪いのではなく存在することでそれらが生まれるので、わたしは!存在しつつも、などとあつかましいことは考えられず、だってわたしが!わたしが!
少しも混線しない。脳がいつでもすっきりしているわけではないが、誰かほかの人間が割り込んではいない、すべてわたしだ。重複するわたし自身。しかしすべてわたしだ。繰り返し、繰り返す、理解している、それがわたしであるということをわたしは理解している、すくなくとも知っているということが重要だ。セオリーはすべてわたしが考えた。すぐに世界はひっくりかえるだろう。わたしの知っている世界は。所有している人物と握手、理解はむしろこちらがわだけで行われる行為のひとつだ、手を取るという現実が重要で必要だった、わたしのなかの世界には誰が。「わかんない」と「どうだっていい」の真ん中に線を引き足場をつくる。たぶん、二者択一。どっちを選んだってそう悪くない。もう片方を知りようはないのだ。自分の選んだ世界以外に生きることはできない。覚悟を持つのもいいが、持たないのもまたそれでいい気がしている。死ぬときは死ぬのだ、と言うけれど、わたしは死にません。わたしは生きているわたししか知りえない。それは不幸か幸福か。知らないのだからわからない。わからないことが多すぎ、そしてそのことがわたしを安心させる。安心はほんとうに重要だ。夜眠るためにはとくに。

*

;joke;
捏造/捏造/捏造/捏造/捏造/捏造/捏造/捏

*

そして部屋のなかは暖い。
忘れ物の時間、
混沌が濃くなる

*

右肩への負荷
左側に慣れる
すりへってうずくまる。

*

なにもない自惚れだけしかない

*

生暖かくてぬめりとした毛布がこちらをみている。わたしの髪をかき上げるわたしのものでない手のひらから奪おうとこちらをみている。そうして気付いた先に何かがあるのか。
疑うことは必要だった。見極める目を持つべきだった。後付けで逃げる。その先を考えてしまうのに。わたしの手が汚れてすごくいやだった。いつもいやだった。いやでいやでしょうがない。全部やめたかった。全部が苦し紛れの末の行為に思えた。そうやって繋げていくすべてが気持ち悪かった。それでもそうやってでも繫げていく以外を思えなかったので。しょうがない、で済ませるのに飽きた。でも容認できなかった。二者択一にしているのは自分なのにどちらも選びたくなかった。反抗でしかないのに。なにもかもがいやだった。いつも現実なのに過去にしたいと思う。過ぎたことを無かったことに似せることが得意になった。ざわざわしていて、わたしは何もかわいそうじゃなかった。わたしが悪くて、他の何も悪くなかった。すべては内側で起こっていて、わたしは世界に参加していなかった。どこかへ行くことは可能だった。どこにも行きたくなかったのに。不満しかゆわなかった。誰も悪くなくて、誰かのせいにしたくてたまらなかった。変わるのはとてもこわい。変わらないのもとてもこわい。全てがおそろしいと思った。こわくてたまらないと思う。わたしのなかの小さな全てを克服したときに次があるのだとしたら。と、超えてもいないのに仮定を持ち出してしまう。現実を見ていられないのだ。目玉がないように振舞っている。ただそれだけで、とてもうすぺらい。とてもうすぺらくて、いやでいやで、たまらなかった。

*


混沌の伝染
満員のバス
花柄、髪の長いひと
日差し/冬の

*

うすまったジュース
うすぺらい味

電気つけたままのうすい夜
ひらべったい夜
わたしもたいがいうすぺらい

深遠をみたきもちでいた
わたしもたいがいうすぺらい

*

つるつるに晴れた大晦日
許せないきもちを持ち越そうとしているわたしが悪いのだと言う
白くはりついたうす甘い月
わたしはあんなにやさしくなれない


*


バスルーム
ラベンダーのにおい

電話
十三回まで着信かぞえた


おなじ生活のなかに
いたくない
冗談につきあって
べつべつの生活にかえる

たぶんわたしがわたしでなくてもいい



自由詩 2006-2007 刺青、あるいは痕跡 Copyright はるな 2011-04-15 21:00:41
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